東京こっち話。

こっちの人(ゲイ)があれこれ話を。

自分に合う『人付き合い』を探す話。

学生の頃の夏休み、プール開放日。塩素の匂いが沁みこんだビニールバッグにいそいそと水着を詰め、家を飛び出す。運動神経が死んでいて、何をやらせても通信簿の体育の成績に3以上ついた事が無い僕にとって、水泳だけが体を動かす喜びだった。

 

 

エグい感じの小児喘息持ちだった僕は、少しでも呼吸器を鍛えねばなるまい、と両親と祖母の意向から、物心がついた頃から週に1度バスに乗り、スイミングスクールに通っていた。そのお蔭もあってか夏休みの過ごし方の大半が、プール開放日に体がクタクタになるまで泳ぎ続けるというものであった。スイミングスクールの時間にドラゴンボールがやっていたので、当時話についていけなくてその話題があがるたび、ノートに絵を描いて時間を耐えていたな、そういえば。

 

 

 

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水泳だけが運動で唯一好き。の好きたらしめるもので、一番大きな理由は『否応なしに孤独になれるところ』である。

 

 

スイミングスクールの時の僕は、水の音と、呼吸音と、合間に漏れてくる館内の、少し時代がずれたポップス、その世界で自分だけがいるような感覚になるのが好きだった。と言っても、あんまりにもペースをあげると、その世界にも住人がいるのだ、と当たり前のことに気付いてしまう。

 

 

子供の頃はその瞬間が、とんでもなく嫌で、無人のプールで延々と泳ぎ続けられたらなんて幸せなことだろう、というようなことをしばしば願っていた。今にしてみたら、僕はまあまあ人付き合いが上手くない子供だったんだろうなあ。子供の頃よく遊んでた奴らの名前、全然思い出せないんだもの。水着を帰り道に落として泣きながら、夕陽が差す通学路を探し回った思い出は残っているのに。

 

 

 

 

 

ういう子供が大人になった時に、社会人になった時に、人付き合い、ましてやゲイとの関わりがよく分からなくなるのは当然の帰結で。でも、それで思い詰めることが無かったのは両親の影響が大きいんだろうな。父は友がいなかった(自身でもそう公言していた)が、草野球やテニス、ゲームにパチンコ...多趣味であった為知り合いが多かった。母はというと、叔母...母の姉と仲が良く、よくアーティストのライブやバスツアーで楽しんでいる。もっとも今は推しのアーティストが休止状態なので、そちらの方はライブDVDを擦り切れるまで見ている状態らしいのだが。前回里帰りした時に休止の理由を聞いた時の母の深い悲しみに満ちた眼差しときたら。

 

 

 

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そんな両親だったからか、『無理して友達を作らなくてもいいな』と、楽観的なんだか引っ込み思案なんだかよくわかんない心構えの20代の前半を過ごしていた。そんな時に、音ゲーがきっかけで知り合ったダンサーさんが、僕に何とはなしに言った言葉がある。

 

『なんか君って、どんなに仲良くなっても、いつ消えてもいい準備が常に出来ている気がする。明日には、ふらっといなくなっているような。なんでだろうね?』

 

ぎょっとした。そうか、そういう風に周りからは見えるのだ、と。そして多分、この性質はちょっとやそっとでどうこうなるものではないと。僕の人付き合いは、いつだって逃げ出せるように水面に漂い続けている、プールの中だったのだ。

そこからしばらくは、そのプールを出る為に趣味を広げたり、よく遊ぶグループに属してみたり、そしてブログを開設してみたりした。で、案の定スタミナが切れた。荒療治過ぎたんだと思う。そんでまたプールに戻った。『沢山の人と出会うのは楽しいし、自分の生きる糧になる。しかし僕の胃袋は小さすぎる為、節度が必要である』とかなんとか、自分なりの着地を得たのが現在である。

 

 

無理はアカン。6文字を知るのに随分歳月がかかった。そして歳のせいかもう無理をして頑張るという気持ちも薄らいできている。それがとても安心する。肉体的な制限があれば、今の人付き合いも漸く(自分自身によって)肯定されようものだ。太古より伝わる関西人の高位詠唱呪文『行けたら行くわ~』をかなりの低コストで発動出来るようになった。オールも出来なくなった。ので、どんなに盛り上がろうとも眠くなったらすぐ帰るし、やりたいゲームが発売したらTwitterもめっきり見なくなった。一人暮らしをはじめて、ますます自宅が好きになった。玄関の鍵を差し込む瞬間、心底喜びが湧いてくる。それは今もそう。

 

 

んな中でも人付き合いは続くし、会いたい人には会うし、会いたくても(様々な理由で)会えない人もいるし、会ってくれる人はいるし、そうそう会えない人とも冗談を文字で交わしていくし、気が付いたら縁が切れていたりするし、そんでなんだったら二度と会えなくなってる人も出てきたりする。子供の頃から出たり入ったりしてるプールは、時折泳ぐことがままならなくなるが、ままならないを楽しめるぐらいの、歳にはなってきている気がする。

 

 

 

 

てなことを、プールの話じゃない形で先月にね、書こうとしたんですよ僕は。先月はホントなんだったんだろうってぐらい、身体がボロボロで!歯茎に菌が入ってめっちゃ腫れたのを口切に、風邪、喘息、蜂窩織炎っていう。身体アニメの総集編回かよっていう。前の記事から2か月だって!光陰矢~!!矢~!!

 

 

蜂窩織炎なんて、めっちゃ聞き返したしねお医者さんに。聞き馴染みが無さすぎる病名聞くとめっちゃ焦るね。足の皮膚の奥にばい菌入っててそれがめっちゃ腫らしてます、って先に言ってもらえると心構えが出来るんだけどな...。元気じゃない時に文章を書くと

 

 

 

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になるから、っていう理由で書く日をずらしてたけど、結局ポエミィじゃねーか!ガハハ!

 

 

 

 

 

次回は

多趣味ではなく多感ということで、な話。

を書きます。